Purple Fabric’s Diary

映画や本、その他諸々について自分の意見を書くブログ。日本人になりたい日本人。Filmarks ID:pierrotshio

映:LEON

監督:リュック・ベッソン

制作国:フランス/アメリ

 

アクション映画のイメージが強い監督だが、この映画には、破壊された壁や飛び散る血さえも美しく感じさせる魔法がかかっているようだ。

 

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あらすじ

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ニューヨークで孤独に生きるレオンは、プロの殺し屋として、マフィアのボスからの依頼を完璧に遂行する日々を送っていた。

ある日、仕事帰りのレオンはアパートの隣室に住む少女マチルダと知り合う。マチルダは実の父親と義姉から虐待を受けており、義母からはまるで関心を向けられず、幼い弟にしか心を開けない、閉塞感に満ちた日常を送っていた。父親に殴られて鼻血を出しているマチルダにレオンがハンカチを差し出す。

その翌日、マチルダの父親が麻薬密売組織の商品を横領したことを見抜いたスタンスフィールドとその一味がアパートに乱入し、義母や義姉を射殺。薬の在り処を問い詰めるスタンスフィールドだが、父親が一瞬の隙を見て銃を取ったことから銃撃戦となり、現場は蜂の巣状態になる。4歳の弟は流れ弾を浴びて死亡していた。家に居たくないと、レオンのために牛乳を買いにでかけていたマチルダはアパートに戻り家族全員を皆殺しにされた事を知る。マチルダはとっさに隣室のレオンに助けを求め、レオンはしばし逡巡した末に彼女を保護する。

弟の復讐のためレオンから殺しの技術を学ぼうとするマチルダ。奇妙な同居生活を始めた二人は、やがてお互いに心の安らぎを見出すようになり、複雑な感情と信頼を抱いていく。

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『レオン』といえば、画像検索をすれば分かるが、幼き頃のナタリー・ポートマン演じるマチルダのビジュアルや絵に描いたような異国の風景だけで期待値が上がる作品だ。

そして予想通り、いや、それ以上に素晴らしい作品。

私はこれがリュック・ベッソンの最高傑作だと思う。


要所要所に不器用だが確かな優しさが散りばめられている殺し屋レオン。

怒りなのか悲しみなのか分からない爆弾を抱えながら生きるマチルダ

そして麻薬取締局の刑事でありながら最高にかっこいい狂人スタンスフィールド。

まぜるな危険。しかし混ぜてみたらまんまとハマる。

『レオン』公開の4年前のリュック・ベッソンの映画『ニキータ』の主人公ニキータは大人の女性だが、マチルダに通じるところがいくつかある。

強気なときの凛とした表情、弱さをさらけ出したときの歪んだ表情、艶っぽいのにいやらしさがない色気、危なっかしくて可愛い性格。

ストーリーは『レオン』の方が好きだが、類似点が多くレオン役のジャン・レノも出演している『ニキータ』は『レオン』が好きなら観るべきである。

因みにクレイジーなスタンスフィールドは、ハリーポッターシリウス・ブラックでお馴染みのゲイリー・オールドマンが演じている。

所謂ヤバイやつだが、エキセントリックでかっこいいので注目してほしい。


レオンが劇中で観る映画と現実との対比、抜かりない死の描写、愛か死かそれしかないと言えてしまう少女の覚悟。

二人の間に汚れた感情は何一つない。

残酷さの先で息を潜めて待ち構えている恐ろしい美。

私たちはそれを知っていながらも、そちらへ向かうしかない。

抗うことはできない。

「独りにはしないよ」「大丈夫」

レオンの言葉だけがマチルダに届き、彼女を救い、生かした。

「愛してる」

こんなに愛しい哀の言葉は聞いたことがない。

 

ED曲はStingの"Shape of my heart"。

聴けば分かるが、繊細な弦の音や哀愁漂う歌声が観客を映画の世界から抜け出せなくさせる。

キャラクター、キャスト、ストーリー、ロケーション、ミュージック、全ての要素が合わさって生まれた必然と奇跡の美しき映画。

まずは画像か予告を見て、好きそうだと思ったならその直感を信じて欲しい。その時点で好きなら好きになるから。

 

予告動画↓

https://m.youtube.com/watch?v=klo346XR2hQ