映:マイ・プライベート・アイダホ
監督:ガス・ヴァン・サント
制作国:アメリカ
ネタバレ注意‼️‼️‼️‼️
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
親に捨てられ、男娼として生活をするマイク(リヴァー・フェニックス)。
市長の息子でセレブだが、親への反抗心から男娼になったスコット(キアヌ・リーブス)。
生い立ちは正反対だが、ふたりは親友だった。
美しさを持て余した彼らが繰り広げるのは単なるロード・ムービーではない。
実はマイクはスコットに想いを寄せていたのだ。
マイクだけではない。
ストリートで暮らす若者たちには、ひとりでは抱えきれないほどの痛みがある。
同性愛、ドラッグ、ナルコレプシー、売春、近親相姦。
そんな彼らの姿は、独特な演出で美へと変換される。
セックスの描写として彫刻作品のように静止してみせる生身の人間。
絶頂と共に崩れる建物の映像。
異質な美しさと、持ち合わせた重い主題に私は目が離せなかった。
ある日、マイクは自分を捨てた母親を捜すことを決意し、スコットと共に故郷アイダホへ向かった。
そこには兄のリチャードが住んでいる。
そこでマイクは衝撃的な言葉を放つ。
「あんたが父親だ」
言葉の通りならば、母と兄は近親相姦で結ばれたことがあるということになる。
映画の中で真実が明かされることはなかった。
なんとか母親の手がかりを得て、ふたりはイタリアへ向かう。
そこで出会った女性に恋をしたスコットは、父親が病気だと知り、彼女をフィアンセにして実家へ戻る。
そこでマイクとスコットは離れ離れになる。
マイクは母親がアメリカに帰ると言ったまま消息を絶ったことを知る。
スコットの父親の葬儀で再会するマイクとスコットだが、お互い住む世界が違うことを再認識するだけだった。
自然豊かなアイダホのどこまでも続く一本道。マイクはひとりでそこに立っていたが、ナルコレプシーの発作で眠り始める。
マイクはナルコレプシーという病気を持っていた。
それは、突然堪えきれない眠気に襲われてそのまま眠ってしまう病気。
如何なる状況でも自分の意思に反して寝てしまう危険な病気だ。
現にマイクは襲われかけたことがある。
発作を起こすといつもスコットが安全なところまで運んでくれた。
親友であり、失った母親のようでもある彼をマイクは愛した。
私がLGBTという表現が好きじゃないのは、なぜ「愛」と「同性愛」「両性愛」を分けたがるのか、分からないから。
それが便利な表現だということは理解できるが。
ナルコレプシーで倒れたマイクの前に1台の車がやって来る。
運転手はマイクを車に乗せ、走り去る。
それが誰なのかは分からない。
スコットであって欲しいと、強く思うが。
愛というのは、どんな形であれ報われなかったものの方が心に残る。
自分のものではなくても、悲恋の方がずっと苦しく美しい。
この映画で描かれる誰一人心から幸せにはなれなかった。
その棘が私には魅力的だった。
そしてこの世界は、交わらない愛で溢れていると感じた。
予告動画↓
https://m.youtube.com/watch?v=xA0U0otWuzE
予告は字幕なしです。