映:少女ムシェット
監督:ロベール・ブレッソン
制作国:フランス
あらすじ
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病床の母親とろくに働かないアル中でDV体質の父親を持つ14歳のムシェットは、学校でも極貧であるという理由で無視され、友達のまったく居ない生活を送っていた。ある日の学校の帰り道、森へ迷い込み、密猟の男に出会う。その男はてんかんの発作と幻覚症状を抱えていた。密猟の男に犯され、母親は死に、父親に暴力を振るわれ、森番の妻に怒鳴られ、どこへ行っても誰にも味方もされず、不幸のどん底にいるムシェットには居場所がなかった。
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たった14歳の少女が「うんざりだわ。」と言えてしまうような世界。
変わらない表情に誰も気付かない。だが確かに彼女は泣いていた。酒浸りで暴力的な父と病気で寝たきりの母。唯一心を許した密猟者のアルセーヌさえ、彼女を傷付けることしか知らない。
涙だけが流れる中、初めて嗚咽を漏らした瞬間も彼女は孤独だった。
だから報われないラストシーンが妙にしっくりきてしまう。
この作品は、以前ここで紹介した『ダンサー・イン・ザ・ダーク』にも影響を与えたという。
俳優たちが素人というのも良い。
誇張した表現が無い限りなく無に近いリアルな表情で、残酷な人生の真理を訴えかけてくる。
モノクロの世界はもしかしたら、少女ムシェットが見ている世界そのものなのかもしれない。
参考動画↓